わたしは画家になった。
西洋起源の「近代アート」を主流とする日本の美術界は西洋をモデルとして追いつき追い越そうとする。
どうもちがう―
私はアジア人として、女として、美の周縁から出発しようとした。
1921年神戸市生まれ、少女時代を旧満州、大連とハルビンで過ごす。戦後、炭鉱、第三世界、韓国、戦争責任をテーマに制作、絵のシリーズを高橋悠治の音楽との映像作品を制作し、国内外で展覧・上映会を行う。著書に『炭坑夫と私』(毎日新聞社)、『深夜 金芝河+富山妙子 詩画集』(土曜美術社)、『解放の美学 ――二〇世紀の画家は何を目ざしたか』(未来社)、『わたしの解放 ――辺境と底辺の旅』『はじけ!鳳仙花 ――美と生への問い』(筑摩書房)、『戦争責任を訴えるひとり旅 ――ロンドン・ベルリン・ニューヨーク』『帰らぬ女たち ――従軍慰安婦と日本文化』(岩波ブックレット)、『美術史を解きはなつ』(時事通信社)、『silenced by history 富山妙子 時代を刻む』(現代企画室)。他に「対談 50年の闇の中から――「従軍慰安婦」問題を語る 韓明淑、富山妙子」(『世界』1997年4月)